カテゴリ : 
ブログ
執筆 : 
keian 2010-9-17 19:05
私には、『母と姑がなく、頭を下げることもしなかった代わりに、
教えをこうチャンスもないままに、主婦の生活を続けてきました。
恥をかき、失敗を重ね、やっと体得したことをここに書きとめて
まいりました。
簡単なことといわれる家事も、頭で考えるのと実際にするのとでは
大違いです。人生は成功の積み重ねと考えていましたが、
ひょっとしたら、失敗例の上に成り立っているのではないかと、つくづく思います。』
師の村上祥子との出会いの本『わたしの家事㊙ノート』1985年のあとがきに書かれています。
この本の中身を全て実行しようと心がけてきました。
32ページ『さらしのふきんは使い勝手がいい』
このことについて書きます。
欧米の女性に料理を教えることから、師はスタートしました。
家事の仕方も、日本とは全く異なっています。その当時の日本人の台所には
頭のちょっと上あたりにふきん掛けがあって、乾かしては使っていたのですが、濡れたふきんを一か所でストックして一日分をまとめ洗い。この発想は当時にはありませんでした。市販のふきんは、うすくて小さいので、
グラスを包んでふけません。ふちが裁ちっぱなしも糸のほつれとで
頭ぐしゃぐしゃ腹立ちます。欧米の女性が、故国のお母さんにふきん用の
布(チーズクロス)を送ってもらうと頼むくだりでびっくり。
その当時の送料を考えると、やはり姑ではなく母なんですね。
さらし木綿一反(約10m)1,000円で15枚とれるとのこと。
私が作ると13枚のことや14枚のこともあります。
幅の倍の長さのところに印をつけて両手に持ってその長さで屏風だたみに
していき、ワになっているところにはさみをいれる。それだけのことが
25年たってもできないのです。私はベビー用品売り場でおしめ用に
たたんであるものを買ってきます。14枚どりになるので、一度、師のふきんと長さを合わせてみたいものです。私は、結婚して大塚さんになり、また
縁があって松尾さんになりました。一生懸命なことは負けなかったけど、
母にも姑にも仕えたという感じがありません。わがままで自分勝手だと思います。
このふきんだけは、娘が嫁ぐときに作って持たせました。
帰省すると苛性ソーダで煮洗いをして、リフレッシュして持たせます。
師のレシピもふきんで胡瓜もみをしぼることからペーパータオルで
ぬぐう時代に変わってきました。すり鉢の下に濡れぶきんを敷いて
がたつきをなくす料理からスピードカッターでビーンとする料理に
変わっています。ただ、てきぱき料理をこなす心意気だけは
伝えたく、ふきんを隔年に作り変えています。これも、姑根性かな。
私は師が訪ねてくるときが一番緊張し、大掃除に励みます。
心あるお客様が昨日こんなことを言ってくださいました。
『村上祥子先生のコピーでなくなった。松尾桂子は別物。村上祥子先生は
出版社も含めてみんなのもの』
師の本は200冊を超えました。
 
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