ひとつ葉

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ブログ
執筆 : 
keian 2009-7-7 7:37
私の苗字は松尾です。
同じ苗字だからというわけではありませんが、
松尾芭蕉翁の句にちなんだことを書きます。

あの奥の細道に旅立つ前に、松尾芭蕉翁が岐阜にきております。
梶川町にあります妙照寺<日蓮宗>に滞在しております。ここを翁寺<おきなでら>といわれる所以です。
元禄元年に僧籍にあった己百の東道で岐阜に入りました。
 夏来ても ただひとつ葉の 一葉哉
 おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな
の有名な句のまえに、夏の暑さよりも先に、葉一枚の涼しさを感じたのかもしれません。俳句は、感情よりも先に写実をいいます。一瞬の景を
永遠にする文学のように私は思います。急いだりあせったりしないのです。 
ここから、月日は百代の過客にして、行きかふ人もまた旅人なり と冒頭の文章にはいると憶測すれば、岐阜も捨てたものではありません。

この句碑は 岐阜県俳句作家協会によって、金華山頂上付近岐阜城へつうじる小径の脇にあるそうですし長良の法久寺にもあるそうです。
ひとつ葉は羊歯類で山野に自生しますが、ふつうの植物は夏になると枝葉が青々と茂るのにこのひとつ葉だけは、冬とかわらずたった一枚の葉であると自分の孤独を重ねたのです。
現在は、金華山の天然記念物に制定されており、勝手に採ってくることはできません。
ありがたいことに、とうふ屋桂庵の庭には、おかげさまでひとつ葉がございます。
かわらず、ここで商いをさせていただける賜物です。

また、私が生まれたころに、奈良屋さんが
<一つ葉>という銘菓を創生されております。
亡き河合ひでさんの創作菓子と昭和36年に嫁いでこられた女将さんにお聞きしました。
このお菓子は、ひとつ葉の焼印の上に、すり蜜のぐあいも素晴らしく、茶席にふさわしいのです。今日は菊最中も買ってきました。鵜飼のお茶碗でお薄をたてましょうか?
 
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