こだわりの器

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執筆 : 
keian 2011-7-9 10:25
 とうふ屋桂庵は、柳ケ瀬時代も、今も、器だけはやたらに立派だとほめていただけます。料理屋ならば器は料理の着物なので、着物だけを褒められていては・・・という思いも無いことはないのですが、まぁこれで良かったと思っています。
 器は元々が大好きで、茶懐石に夢中になった時代も踏まえて、やたらに買いまくりました。親のうちに住んで、家賃も税金も払わないでいたおかげ。

(京都)祇園の松室治隆氏が、南禅寺の瓢亭で8年間の修行の後、29歳で独立・開業された時に、料理1人前の値段の20倍が基準という話を聞かれて、とても、そんな値段ではおさまらなかったそうです。
それでも、念願の自分の店だからと妥協したくなく、料理にも詳しいある器屋の主人と意気投合されたそうです。その店は五条坂の楽芝園です。私も相談をした時、とっくりがキリの値段で1万円と教わりました。

 私が料理を盛る器を買い狂ったのは、30代の10年。料理コンクールに夢中になったからです。
初めての東京全国大会の時に、白いコレールの皿を2枚だけと愛用の杉本の牛刀を1本だけ持って臨みましたが、日本全国各都道府県の代表の方は、かなり凝ってみえました。もちろん、プロの盛り付けの指導を受けて来られた方が大多数でした。
場所は東京京橋の明治屋でした。その時に、白い器とのバランスを取るために、下の店で何かあしらいになるものを調達してくれば良かったのに、また折り紙ででも色を合わせれば良かったのに、
子育ての真っ最中の私には、食べられない物を器に盛る才覚がなかったのです。
 それから10年の間、当時の配偶者は寛大だったのでしょう。最高100万までコンテストに出るために買いました。でも、岐阜県の審査員長の当時の岐阜会館の北山守正先生は「また来たか!」と温かい目で応援してくださいました。

 私が器を買う決断。必ず、その店で、豆腐か米か大豆を盛って見ただけです。私と師の出会いの本「私の㊙家事ノート」(1985年)では、「白い器は料理上手に見える。白い器の同色のみぞれ和えを入れた時でも、光が作る陰影が白地に映り、輪郭を浮かび上がらせるのは、1つの発見でした」と教えてくれましたが、どうも、私は全く逆の器選びをしてきたのかもしれませんね。

 それでも、器と豆腐が、器と料理が一体となって仕上がると、楽しさは頂点に達します。
これに、お客様が喜んでくださったら、料理屋冥利に尽きます。

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付録
今、仕事をさせていただいているお店の取引先に21番サッポロラーメン様がございます。
味噌ラーメンとチャーハンを食べに行ってきました。
大盛りを制覇するために、殿方も3名同行です。
迫力満点をひきたてるのは、白い器でした。
 
〒500-8034 岐阜県岐阜市本町 5-23
TEL : (058)-262-4015
FAX : (058)-262-4015
URL : http://www.k-an.jp
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